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どうする!?リモートワークの導入~リモートワークで働きやすい職場を自ら実践している社会保険労務士がアドバイス~

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※下記は、動画の要約を記載しております。

- 株式会社フラクル 代表取締役の三田さんにご登場いただきました。三田さんは、社会保険労務士ですが、ITに強い社会保険労務士。今回のテーマ「リモートワーク」。就業規則はあるものの、リモートワークになったら就業時間をどう管理するかといった相談は増えていますか?

「めちゃくちゃ増えています。」

-三田さんの事務所も、リモートワークは導入されていらっしゃるんですよね?

「そうですね。導入というより、最初からですね。」

-よくある悩みとしては、管理なのか監視なのかの境界線がわからないとか、会社側もスタッフ側も、お互い業務態度を不安思っている状態になっている。つまり、リモートにする体制ができていないってことでしょうか。

「経営者の認識の問題が大きいと感じます。つまり、労働法上、きれいな労務管理ができるという話しと、リモートワークが成功する話は別。労務管理的にリモートワークがしたいのであれば、厚生労働省のHPに参考となる基準や資料が掲載されているので、その通りにやれば、労務管理的にはできる。でも、リモートワークの成功って何かって言うと、出社している状態よりも生産性が高い、コミュニケーションがうまく取れている状態だったり、能力が発揮できて成果がだせるようになった状態になることだと思います。」

-では、めざすところは、在宅しているときと出社しているときが変わらないことではないんですね。

「はい。よりよくなるだけでなく、今まで家庭内や距離的事情があって出勤できなかった方にも自宅で働けるようになる、といった、会社としても向上していける状態になることがリモートワークの成功かと思います。」

―採用にもかかわってくるということですね。

「まさにそうです。特にベンチャーのように、まだ採用力がなかったり、採用に広告コストをかけられないといった部分をカバーできる武器にもなります。」

―制度を整えるというのが、なかなか難しいのですが、まず、リモートでの時間をどのように測ればいいのでしょうか?

「テレワークを成功させるためにどうするか、という話しと、労務管理をどうするか、といった話しに分けて考えてみましょう。
まず、成功云々の前に、労務管理をしっかりする必要があります。そこで一番重要なのが、時間管理です。勤務時間の設定方法は、通常労働時間制度、フレックスタイム、みなし労働時間といったパターンがありますが、一番導入しやすいのはフレックスタイム。フレックスタイムとは、従業員の方が自分で勤務時間帯を決める事ができる制度です。ただ、フレックスタイムで夜中に働きます、では都合が悪いので、コアタイムとフレキシブルタイムを設定します。」

-中には、リモートワークになった方が、労働時間が増えたというケースも聞かれますが、正当な残業であるならば残業代は申請できるんですよね?

「もちろんです。そして、仕事時間が伸びていること自体を会社に相談した方がいいですね。」

-なるほど。まずは、勤務時間を定めて、時間管理をするということですね。では、次に、成果の計り方ですが、営業職であれば成果がわかりやすいのですが、事務職ではどのように考えればいいのでしょうか?

「私が疑問に思うのは、リモートワークになったとたんに、成果をどう計るかと言われ出していますが、出社していた時は、成果が見えていたのか?ということです。まるで、その時見えていた感を出しますが、見えていないから、問題がでてくるのだと思います。見えていたのは、何となく頑張っているという姿を見ていたのではないでしょうか?」

-確かにそうかもしれません。

「与えられた仕事をさらっとやってのける人と、汗かいてやった人とでは、汗かいてやった人の方が評価されるような文化が少なからずあると思います。なので、今回成果が見えなくなったというよりは、見えていなかったものを、成果で判断できるようにしましょう、ということかと思います。まずは、そこを意識し、成果って何かを話し合うところから始めるといいでしょう。」

-では、特に事務仕事においては、紙ベースではない方法に切り替える必要がありますよね。

「はい、紙じゃない状態にする必要はあります。」

-クラウドで、外からでも共有することができるようにするってことですね?そのためには、初期投資がかかりますよね?

「はい。システムを入れたり、場合によっては、コンサルタントを入れて整備したり、教育したりする必要もあるので、コストはかかりますが、いつかは絶対にやらないといけないことだと思っています。この先も紙のままやっているようでは、企業文化として潰れていくと思います。」

-そこまで必要なことなんですね。

「はい。ITが偉いとか、そういうことではなくて、若い世代で業務を効率的にしたいとか、自分でやりたいことがあって入社した人にとって、IT化が進んでいない職場に入ったとたんにやる気を失うんですよね。」

-おそらく、管理職の方も、いつかはやらないと、と思っていながら、だんだん今のやり方でもいいかなと、先延ばしになっているケースが多いと思うのですが。

「そうです。その(今の状態でもなんとかなるというような)環境があると、テレワークも進まないし、テレワークに適した人材が入ってこなくなる。ここは結構重要で、テレワークを進めるためには、ある程度ITスキルが必要なので、会社自体にITの土壌がないと、ITに適した人材が入ってこない。結果的に、テレワークが進まないといった悪循環に陥ってしまうことになりかねません。」

-どこかで切り替えて、流れを変えないといけないですね。

「そのためなら、初期投資なんて、安いものだと思っています。」

-今度は、テレワークにしたら、リモハラという問題が浮上してきていますが、服装だけでも指摘すると「リモハラ」と言われるなど、感覚の相違的な部分もあるかと思います。

「価値観の相違で発生する場合、よくあるのは、あなたの考えは間違っているとか、個人の是非を問うところから始まっているケースがほとんど。つまり、本当は、価値観と価値観の違いであるものの、AさんとBさんが違っているというように人に紐づけてしまう。これがハラスメントになるんです。」

-そうですね

「例えば、今私は、ジャケットを着ていますが、Tシャツだけだとしたら、広く配信される動画にもかかわらずTシャツで登場するのはおかしいという方もいるでしょう。その時に、Tシャツで登場した三田さんっておかしい、とすると個人攻撃(ハラスメント)になります。でも、ジャケットを着た方が、社労士としてアドバイスする時の説得力も増すので、印象として着た方がいいですよ、と“事象”と“理由”を紐づけて、個人を切り離して話せば、ハラスメントになりにくくなります。」

-今の話しで言えば、三田さんでなくても、誰に置き換えても通用するアドバイスになりますよね。

「リモハラと言っても、大きくパワハラとセクハラがありますが、この2つは対処法が違います。パワハラは、“叱る”に近い概念。上司としては、怒らなければならないこともあるので、その怒り方も、個人に紐づけることなく、理由をしっかり伝えることが大事。セクハラはパワハラとは逆で、主に業務と関係ないところで起こりやすく、言わなければいいだけのことが多いです。

-よくある社員からの相談や気を付けた方がいい事例などありますか?

「多いのは、パワハラ系ですね。リモートワークの環境下では、パワハラを感じやすくなります。叱るという行為は、対面だと意図が汲みやすいが、リモートワークだと、言い終わったら画面を閉じられて終わりになるため、フォローがないんですよね。」

-叱った後で、肩叩いてみたりとかですよね。

「リモートワークでは、画面が切れた後に、一人になる空間があるため、ネガティブに受け取り安くなります。よくあるのは、チャットコミュニケーションの部分。若い世代では、LINEでスタンプやたわいもない言葉も入れることに慣れていて、それが緩衝材になっているのですが、チャットコミュニケーションが苦手な上司だと、目的に沿ったやり取りしかしないため、
『今の数字はどうなっていますか?』
『〇〇です。』
『低いですね』
のようになり、だんだん滅入ってきます。」

-そこは、ちゃんと意識してあげないといけないんですね。会っているのとは違う対応を。

「そうです。情報量がぎゅっと縮まるので。部下を指導するときに、チャットやビデオコミュニケーションでは、きつく聞こえるんだということを意識する必要があります。社員は、孤独感を感じにくいし、助けを求めにくいので、ハラスメントと感じやすくなり、離職率も高まるといった現象が生じます。会社組織は、三角形だけれども、直近の上司や仲間などとコミュニケーションをとりながら、ジグザクにかかわって成り立っているのですが、リモート環境では、上司から直に降りてくる縦組織になるので、関係性が切れたら終わってしまいます。」

-意識してコミュニケーションを取ることに努力しないといけないですね。話しは戻りますが、成果の計り方について、アドバイスがあれば教えていただきたいのですが。

「今まで評価制度が無かった会社も多かったのですが、あった会社であっても情意考課(取り組み姿勢等)が評価に盛り込まれていた会社が多かったです。それがリモートワークでは見えにくくなったので、成果に寄せていく必要が出てきました。同一労働同一賃金が始まって、職能という職務と能力を中心に設計していくように、評価制度を作る会社が増えています。」

-今回、評価制度も時代の変化に応じて作り直す必要もありますし、リモート環境も導入していくべき時だというタイミングですね。

「自分で仕事をしたいタイプや、ITスキルがそこそこあり、成果を出しやすい人ほど、リモートワーク志向が強いと感じています。中には、一回リモートワークにしたものの、仕事の管理ができないという理由で出勤体制に戻ったとか、上司が電話で進捗を確認してくる、ということに会社の未来を感じなくなって転職する人も出ているほどです。」

-リモートワークが進んでいるかどうかで、会社のあり方も分かれてきますね。

「働く側にとってどちらが魅力的な会社なのか、というのは、明らかになってきます。」

-コロナ禍だけの話ではなく、災害時にも必要な環境ですよね。

「台風の時の出勤とか、とても苦痛。出勤を自分の意志で選べることも、幸福度に繋がる。幸福度な何に依存するのか、というデータでは、お金以上に、自己決定できるか、が大きく関係してくるとなっています。自分の意志で自分の仕事を選べる、出勤時間を選べる、誰と働くかを選べるとか、自分で選んで自分の人生を生きていく、ということは大切なことだと思います。」

-ガラッと体制を変える時は、社内だけで進めても大丈夫なのか、社労士といった専門家も入れた方がいいのか?

「社内だけでもできると思いますが、社外で扱う情報管理の問題なども発生するので、就業規則に載せておいた方がいい事項など、リーガル的な部分は相談されることをお勧めします。ただ、リモートワークは得意な社労士と苦手な社労士がいるので、リモートワークを導入している社労士に相談した方がいいですね。」

-では、最後に、経営者の方に向けて、まずはここからやってみましょう、という最初の一歩があればアドバイスお願いします。

「まずは、経営者の方自らが、リモートワークをやってみることですね。経営者としては、さぼっているとか、気になりだしたらきりがないので、自分がリモートワークをやってみて、どういう感じになるのかを知ることです。例えば、集中できるのかとか、従業員全員が出社しているのに、自分だけリモートだと、こんなに疎外感を感じるのかとか、肌感を知って、良い会社をめざすってどういうことなのかを考えることが、一番近道だと思います。」

-今日は、事例ややってみることが明確になりました。ありがとうございました。

 

公開日
2021年6月1日
執筆者

ゲスト:三田 弘道氏 株式会社 Flucle 代表取締役 / 社会保険労務士

聞き手・文:大阪起業家グローイングアップ事務局 松原