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DXって何?~『DX』を推進することは自社生存のための準備です~

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新型ウイルスコロナ感染症が流行し、テレワークを導入する企業が増えました。東京都の発表資料によると、2020年3月でテレワークを導入している企業は24%でしたが、同年4月には63%にもなっています。この数字は、社内データに外からアクセスできる状況になっていたなど、事前に準備していたからできた伸び率です。

コロナと関係なく、「テレワークを開始する」と、準備していた企業も中にはあるかと思いますが、ほとんどの企業が働き方改革の一環として、「いつか」と準備ができていた企業は、コロナ禍において迅速にテレワーク対応ができました。

そもそも『DX』の原義は『ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる』という事です。これはスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が2004年に唱えたものであり、15年以上前から存在する概念です。

しかし日本での『DX』の概念は、原義を大きく発展させた、「デジタルによりビジネスモデルを変革する」という、壮大なものになっています。この壮大な概念が『DX』の敷居を上げたのかもかもしれません。

 

『DX』とは従来のビジネスモデルに変革をもたらすこと

『DX』の例で一番わかりやすいのはカメラでしょう。写真には「共有したい」というニーズがあったため、段階を踏んで「変革」というレベルまで到達した例です。

アナログであるフィルムカメラが、デジタルカメラになったことで、フィルムが不要になり、現像処理もなくなりました。
ある年齢層以上の方なら思い出して欲しいのですが、現像処理があった頃の写真を共有するのは以下の流れで行いました。
1.運動会、遠足などのイベントで「誰か」が写真を撮ります。
2.その「誰か」は、まず一旦写真をカメラ屋さんで現像して、それを「欲しい人」に回覧します。
3.「欲しい人」は、「誰か」から回覧された写真を見て、欲しい写真を選びます。それは複数いる「欲しい人」」全員に行き渡るまで行います。
4.「誰か」は選んでもらった写真を枚数分、カメラ屋さんで現像してもらいます。
5.「誰か」は現像された写真を「欲しい人」全員に、1枚20円とか30円とかいう現像にかかったお金と交換で渡します。

この手順の後、「欲しい人」が追加で写真が欲しいとなったら、また「誰か」に頼まないと、それを手に入れることはできませんでした。つまり共有と言いつつ、実質は広く共有することはかなり難しい状態です。

これがデジタルカメラになってどう変わったでしょうか。
以下の流れになります。

1.「誰か」が写真を撮影する
2.「欲しい人」はそれを送ってもらう
3.「欲しい人」は別の「欲しい人」に受け取った写真を送る

カメラの『DX』は第一歩が踏み出された後、更なる発展を遂げます。
SNSというサービスが出現し、写真の共有をより簡単に、そして見知らぬ人も含む多くの人にできるようになりました。そして多くの人から支持を受ける発信者の影響力を使い、広告ビジネスが登場しました。そしてその広告力はたくさんのヒット商品を生み出しています。
カメラがアナログ(フィルム)からデジタルになることで、広告というビジネスモデルが変革しました。

しかしデジタルカメラを発明した人間が、SNS広告というところまで考えていたでしょうか。きっと考えていなかったと思います。なぜなら、デジタルカメラが発明された頃、インターネットというものまだまだ一般の人が使えるようなものではありませんでした。電話回線を通じてデータを送る、という手段だったため、1枚送るのに数時間かかる速度でした。ですので、撮影データを「すぐに」共有する、ということは考えにくかったでしょう。
インターネットと言うインフラが、一般にも開放され、また回線の高速化で大量のデータをほんの数秒で送ることができる。このような状態になって、ビジネスモデルを変革させるという『DX』が実現しました。
今、『DX』が騒がれているのも環境が整ったから、という側面が大きいでしょう。5Gに代表される回線の高速化の普及、人間では行えない大量のデータを分析してくれるAI、これらの技術の進歩が、ひと昔前では考えらなかったイノベーションのチャンスを拡げています。

 

『DX』の第一歩は、今ある業務を見つめ直すこと

では、私たちにおいて『DX』とは、具体的にはどうすればいいのでしょうか。
「より良い方向に変化させる」という原義を考えると、『DX』と言えるデジタル化は、アナログの処理を単にITに置き換えただけのものではないもの、と考えられます。アナログの処理を単にITに置き換えるデジタル化とは、【FAXで行なっている受発注をメールで行うが、そのメールを印刷して、結局受注台帳などに手で打ち込む】、というような事です。それは単なる置き換えで、「より良い方向に変化させる」ということではないですよね。むしろ印刷する手間が増えており、作業全体としては後退している、と言っても過言ではありません。【FAXで行なっている受発注をメールで行い、メールのデータを自動で抽出し、受注台帳に自動転記する】、という着地点がなければ、置き換えの域を脱却できません。
この着地点を意識できるかどうか、それもひとつの鍵と言えます。メールデータの自動抽出→受注台帳(エクセルで作ったものなど)に自動転記、などの処理は難しそうに見えますが、かなり簡単に実現できます。コンピュータでの自動処理が敷居の高いものの様に感じることもありますが、実はほんの少しのコストで実現できるものも少なくありません。できること、できないことを知ることが、『DX』のための第一歩です。

 

「2025年の崖」が意味するもの~『DX』は自社の生存のための準備

経済産業省(以下、経産省)が発表した『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』の中には、もしDXが進まなければ「2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
DXレポートでは以下の状況を危惧しています。

老朽化や継ぎ足し継ぎ足しで複雑化している従来システムの存在

それを運用・サポート・拡張できる人材の不足

従来のシステムは維持・承継が困難になり続け、コスト・リスクも高くなり続ける

この状況はいつか完全に従来システムが停止するまで続きます。そしてそれまでの間、どんどんコスト・リスクが高くなり続けるため、早い(サポートができる)うちに段階的な刷新が必要となります。つまり『DX』はシステム停止に備え、企業が生存するための準備といえます。
また、最近では、クラウドなどを活用し、必要な箇所から開発していく手法で、導入コストの軽減やシステム導入のリスクを低減することもできます

2020年の4月にテレワークを導入した企業がぐんと増えたのは、先ほど書いた通り、これも日ごろから準備を進めていた賜物です。そして準備を進める企業が多ければ多いほど、何もしない企業はドンドン取り残されていきます。
少なくとも準備ができているという企業の方が、採用において人も集まりやすく、働きやすい環境があると思われるのではないでしょうか。

公開日
2021年8月6日(金)
執筆者

折原 正博氏
大阪産業創造館 経営相談室(あきない・えーど)DX推進コンサルタント
ネットワークスペシャリスト・情報セキュリティスペシャリスト
中小企業診断士
行政書士

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