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大阪の起業家

新たな“農家発輸入農産物”の仕組みで持続的な食糧システムと日本農業の発展に貢献します!

2021/07/30

株式会社京源商事 代表取締役

菱沼 大貴氏

日本農業が抱える「耕作放棄地」「担い手不足」といった問題のそもそもの原因ってなんでしょうか。私は安い外国産に対抗出来ない結果だと経験から感じております。しかし、外国産の輸入は「食の多様化」や「仕入れ費用の削減」に伴いながら拡大傾向です。このままでは日本農業はどんどん衰退していきます。毎年滋賀県一個分の農地が失われ、将来の自給率は9%になってしまいます。日本農業を支える持続可能な輸入方法はないのでしょうか。私たちは農家が主役となる「農家発の輸入農産物」の仕組みを作り、日本の農家にもしっかりと還元される輸入方法を作りあげています。そして日本の農家目線で輸入農産物の安全・安心を守り、高品質な日本農業の野菜を届けていきます!

HP:https://kyogen-agri.com/

起業家紹介

1993年 宮城県仙台市に生まれ、東京都で育つ。
2011年 東日本大震災の年に東北大学農学部に入学。震災前は研究者をめざしていたが、東北の農業が壊滅的被害を受けその復興に携わりたいと考え、農業経済学を専攻。
2016年 東北大学農学部を卒業。同年、東京海上日動(保険会社)に就職。大阪南支店に配属され、主に生命保険の代理店営業に携わる。新規開拓として、農業生産法人に民間の保険でしか保障できない事業保険を提案する。直接農家さんと話をしていくうちにもっと日本農業に役立つ事業を作りたいと考え始める。
2017年7月 退社。
2017年 株式会社美山農園に入社。事業統括部長として京都の美山(山間地域)で農家民泊を開始。多い時では山間地域に毎月100人が泊まりにくる人気民泊となり京都府より優良民泊事業体として認定。同年、現在の輸入農産物と国内農業のアンフェアな構造に疑問を感じ、新しい輸入の仕組みに挑戦すべく種苗会社と共に中国広東省に渡り事業の基礎作りを始める。
2019年 株式会社京源商事を設立。持続的な輸入農産物の仕組み「農家発の輸入農産物」を事業の柱とする。翌年には、株式会社広州京源商事を広東省に設立。
2020年 「農家発輸入農産物」の冷凍野菜を輸入開始。関西を中心にその「高品質」「低価格」「コンセプト」を武器に販路を拡大。大手量販店のPB(プライベートブランド)も開発し全国に展開中。
2021年 冷凍野菜の運搬に新規就農者の「空き便」を使い運搬を委託。新規就農者は安定した収入確保が出来るので離農を防ぎ、担い手確保にも繋がる。また耕作放棄地の利活用をすべくラーメンチェーンと九条ねぎ・にんにくの栽培を開始。輸入農産物が最終的には日本農業に還元されることが目標。

 

起業のきっかけ

農業は「雑草と虫」の戦いとはよくいったもので、特に夏場の農作業は非常に重労働となる。しかし頑張って栽培しても外国産に4倍以上の価格差で負けてしまう。結果として周りの農家が続々と農業を引退し、また栽培したものを破棄する姿を見て現状を変えたいと考え始める。
しかし輸入農産物は自由貿易の推進によりますます拡大傾向で、その大きな時代の流れには逆らえない。結果として、耕作放棄地や担い手不足に繋がり、日本農業の維持についても懸念される状況下にある。一方で、日本農業には栽培技術や種苗技術といった世界に誇れる技術が沢山ある。
自由貿易が日本農業衰退の原因になりつつある状況の中で、種苗会社と連携し、農家主体の輸入農産物を開発し、輸入農産物でも日本農業に還元される仕組みを築きあげようと決心する。2017年中国広東省での農地確保、種苗会社の協力により事業化へ。

起業までの道のり

「農家発輸入農産物」の考え方を思いついてから、常にこのサービスの可能性について考えていた。農家が主体となり輸入農産物を販売することによって、直接的に日本の農家に売上が立つので、その売上をもとに、地域で「観光農園」や「農家民泊」への挑戦が出来るのではないか。それが地域活性にも繋がるのではないかと。また、間接的には日本国内で野菜の運搬を若手農家にお願いすることで、彼らの安定収入確保にも繋がるのではないか。それが若手農家の離農防止に繋がるのではないかと。
さらに、輸入農産物の安全・安心においても、日本の農家が強く関与していることで消費者に安心して購入いただけるのではないかと。農家が主体の輸入農産物であれば、日本農業が抱える問題解決と食の安全性の確保ができる、と強く感じ事業化に取り組んできた。

今後の思い

めざすのは「輸入農産物の大半を日本の農家が関与する」世界。
今まで輸入農産物は日本農業の衰退の原因になっていたが、農家が主体となることで、日本農業の衰退には多少なりとも歯止めがかかるのはないかと考えている。100年先も日本農業が持続的に発展するには不可欠な事業として、多くの農家を巻き込みながら大きくしていきたい。

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